実家にいた時代、体を洗うのは手ぬぐいで、が常識でした。で、一人暮らしをするときに初めて、ぼでぃたおるという物がこの世に存在することを知りました。世の中って広いね。
最初はポリエステルみたいな素材のボディタオルを使ってたんですけど、繊細でデリケートな僕はとても傷つきやすいので、その乱暴で攻撃的な性格に愛想を尽かし、綿製ボディタオルに乗り換えました。ところが、彼は優し過ぎました。優しいだけで何か物足りないんです。たまには私のことをちゃんと叱って欲しかったんです。そんな時、見つけてしまったんです、彼を。彼は麻でできていて、すごく刺激があります。それでいてちゃんと限度も理解してます。決して私が深く傷つくような事はしません。彼とはその後４年間続きました。でも、彼、ちょっと無理してたみたいで、知らないうちに体を壊してたんです。顔色も最初の頃に比べて悪くなってて…ある日いつものように彼とじゃれてたら、突然「か、体が痛い！張り裂けるっ！」と言ったかと思うと体の中心が張り裂けてぽっかりと穴が空いてしまいました。もう処置の施しようもなく、そのまま彼はドリームアイランドへと旅立っていきました。
その後、何人ものボディタオルと付き合ってきましたが、彼のことが忘れられなくて、結局うまくいきませんでした。そんなどん底の生活を送っていたある時、無印良品という店で彼を見つけたのです。いえ、正確には彼じゃありません。でも、怖いくらいに似てるんです。あの顔、あの背丈、あの感触…それから私は彼に会うために何度も無印良品に通いました。そして私は決めました。この人とずっと付き合っていこうって。あの愛しい彼じゃないけど、この人も彼と同じ位愛してくれるんです。今はまだ彼のことを思い出してしまうけど、この人とずっと付き合っていくうちに彼のことも忘れることができるんじゃないかって、そう思います。
あれから１年が経ちました。無印良品で出会った彼とはラブラブの毎日です。毎日お風呂に一緒に入ります。お互いの体を洗いっこします。彼の体はとても頑丈で、ちょっとしたことじゃへこたれません。凄く頼もしさを感じます。あのとき無印良品で彼に逢えなかったら今頃私どうなっていたのでしょう。それを思うと、無印良品には本当に感謝せずにはいられません。無印良品の皆様、本当に有り難うございました。
